自由な遊びが子どもの将来を左右するワケ

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自由な遊びが子どもの将来を左右するワケ
How Free Play Can Define Kids’ Success

決まり事のない自由な遊びをしながら、子どもたちは自分自身の力でおもしろいことを発見したり、想像力を膨らませるチャンスを得ることができます。ケネス・ギンズバーグが著した『Building Resilience in Children and Teens』によれば、この過程は豊かで実りある将来を築くために必要とされる“困難から回復する力”を養う上でとても大切なことなのです。

米国フィラデルフィアの子ども病院で小児科医を務めるギンズバーグは、ホームレスの子どもたちとも関わりながら、若者たちが未来ある明日をつかみ取るために必要なスキルを得る手助けを長年行ってきました。

ギンズバーグが考える“回復力のある子ども”とは、夢中になれるものを持ち、他者に対して寛容で共感力があり、思いやりと世の中に対する慈悲の心、困難に立ち向かう気概を備え、協力を惜しまず、創造力に満ちあふれ、建設的な批判を甘んじて受けることのできる人のことです。

「我々が重要視していることの多くは、創造的活動の中で培われていくのです」とギンズバーグは言います。社会性、交渉力、分かち合いの精神、自己弁護力、そして決断力を学ぶことができるのは、子どもたちが自由な発想で遊んでいるときなのです。

長期的な視野で見た場合、子どもの勉強に対して親が過度なプレッシャーをかけるのは逆効果となることがある、とギンズバーグは警鐘を鳴らしています。彼が言うところの“子育ての究極のゴール”とは、健康で賢い35歳を世に送り出すこと。親が長期的思考を持つことで、様々な問題を秩序立てて見ることができるようになるのです。

「世の中には誰も考えついたことのないアイデアがまだまだたくさんあります。それなのに既製の枠にとらわれてしまっては、その枠の外にあるアイデアを見つけだすことなどできません」とギンズバーグは主張します。親や教師が子どもを既存の社会にハマる歯車にしてしまってはならないのです。

子どもたちに“回復力”を与えるために親ができる大切なこと——。ギンズバーグが“回復力を得るための7つのC”と呼ぶそれは、創造的活動によって養われるのです。

“回復力を得るための7つのC”

1.   COMPETENCE(能力):子どもたちは正しいことをしたときにその行為を認められ、能力を高めるチャンスを与えられる必要がある

2.   CONFIDENCE(自信):自信は親や教師が教えたり自然に培ったりした能力に裏打ちされる。脆くもあるが、無理のない課題をクリアすることで補強も可能

3.   CONNECTION(つながり):コミュニティの一員となることで、子どもは苦境に立たされたときでも一人ではないと感じ、問題を解決するための鍵を自らつくり出すことができるようになる

4.   CHARACTER(人格):子どもは物事の善悪を理解し、社会道徳に従うことができなければならない

5.   CONTRIBUTION(奉仕):他者に奉仕するという経験によって、子どもは必要なときに助けを請うことができるようになる。他者への奉仕が気持ちのよいものだとわかれば、同じようなサポートを受ける必要があるときも躊躇することはない。他者へ助けを求めることが容易になれば、問題に直面したときの回復力も格段に上がる

6.   COPING(つき合う):子どももストレスとうまくつき合う方法を学ぶ必要がある。ストレスをコントロールできれば、難しそうに見える問題をそれほどでもないものに弱体化させたり、大きな問題に発展しそうな不安要素を回避したり、物事をうまく流したりということもできるようになる

7.   CONTROL(コントロール):真に力のある子どもになるためには、自分を律することができなければならない。子どもが限界に挑戦したがるのは、ここまでできると安心することで自らをコントロールする力が得られるからである

この7つのスキルを磨く鍵となるのが、創造性のある遊びです。「遊びこそが周囲をコントロールすること、物事を理解することを学ぶ場なのです」とギンズバーグ。「遊びの中で子どもは間違いを犯し、そこから立ち直る術を学ぶのです。親にとっても、子どもの様子を見たり、対処法や他者に譲歩することを教えることのできる特別な場と言えるでしょう」。

子どもを枠にはめたり、勉強に役立つか役立たないかでその行動を判断したりすることは、彼ら自身の力によって学ぶ場や、予想だにしない困難に立ち向かう場を取り上げてしまうことにもなりかねません。そうした学習はテストを受けるだけでは決して得られないものなのです。

原文著者:カトリーナ・シュワーツ(ジャーナリスト)
原文掲載:『MindShift』オンライン誌(2013年2月15日)
記事原文はこちらから:http://blogs.kqed.org/mindshift/2013/02/how-free-play-can-define-kids-success/

自由な遊びが子どもの将来を左右するワケ」への1件のフィードバック

  1. rbenglishacademy 投稿作成者

     子どもたちを主役に据えた私たちのカリキュラムにおいて、“自由な遊び”は重要な役割を担っています。実際のところ各授業はきめ細やかに組み立てられコントロールされているのですが、子どもたちはレッスンのあいだ中、その場をコントロールしているのは自分なのだと感じているでしょう。自分たちがしたいことをして、学びたいと思ったことを学んでいる——そんな気分になっているのです。そうした環境で課題に向かうからこそ、成功体験を得られるのです。
     また、私たちの授業では“プラス・タイム”というユニークなプログラムを導入しています。これは経験を積んだ教師の立ち会いの下で自由に過ごすという、カリキュラム外の時間。レッスンの後に設けられたこの時間中、生徒たちは英語を学ぶ過程で得たアイデアやプロジェクトを披露し合うのです。

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